Kodai_Note

耳を澄ますように古代を感じる試み。

「七夕伝説」の発祥は、大阪の枚方市と交野市?

「七夕伝説」は織姫と牽牛の恋物語

たまには、季節に合ったものを、ということで今回は「七夕」についてのトピックス。まずは「七夕伝説」についておさらいを。

七夕伝説のヒロインは天帝の娘であり神様の着物つくりにたずさわる織女(おりひめ)。天の川のほとりで、彼女は年頃になっても恋もせず、無心に着物を織っていた。天帝はそんな織姫を不憫に思い、牽牛(けんぎゅう)という名の牛飼いを引き合わせ、結婚させる。すると、それまで真面目に働いていた織女(織姫)と牽牛(彦星)は職を忘れ、遊びほうけ、着物をつくらなくなってしまった。天帝の逆鱗に触れてしまった2人は引き裂かれ、離ればなれとなる。ただ、年に一度だけ、七月七日に「天の川」を渡って合うことだけが認められた。そして、「天の川」を渡るために「鵲(かささぎ)」という鳥が翼を広げて橋を架け、2人は「天津」という天の港で逢い引きする。

以上が「七夕伝説」のアウトラインだ。

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このロマンチックな恋物語と地理関係が合致する土地が存在する。

それは、意外なことに京都でも奈良でもなく、

大阪の北東部にある郊外、枚方市と交野市なのだ。

 

地図で交野市・枚方市周辺をみると「天野川」という川が記されている。

生駒山系を水源とし、淀川に流れ込む小さな一級河川だが、

この「天野川」には「鵲橋」や「天津橋」、そして「逢合橋」といった

「七夕伝説」にちなんだ名の橋が架かっているのだ。

 

さらに、天野川の北には機物神社がある。 

機物神社には、織姫が祀られており、なんと七夕祭りが行われているという。

ここまでくれば、交野市・枚方市周辺を七夕伝説の発祥の地とは考えていいものか?

 

「天帝」とは何者か?

ところで、「七夕伝説」には「天帝(てんてい)」と呼ばれる人物が登場する。

神や仏でもなく、帝でも、将軍でもない「天帝」とは、古代中国で、宇宙の万物を支配すると考えられた神であり、万物を創造したとされる造物主なのだという。

じつは、5~6世紀頃、この地域には、秦氏などの養蚕布織の技術に長けた渡来人の一部が定住していたのだ。

そして、機物神社は渡来人が祀る「ハタモノの社」だったといわれている。
つまり、「秦」を機織りの「機」という字で表し、機物神社として祀られたというわけだ。

そうした経緯から交野の地形が「七夕伝説」の舞台にみたてられ、広く伝えられたといわれているのだ。