Kodai_Note

耳を澄ますように古代を感じる試み。

奈良

岡寺:法力で龍を退治した奈良仏教のルーツ、義淵僧正創建の寺

観音の申し子として生をうけ 良弁や行基を育てた傑僧義淵 明日香村の東、岡山の中腹にまみえるのが西国三十三ヶ所観音霊場*の第七番札所となる岡寺。 坂道を登り、門前町を横目に息を切らせて歩き、重要文化財に指定されている仁王門へ。 境内にはいると堂々…

かっては「岸辺の道」だった?「山辺の道」

「山辺の道」とは春日山の麓から奈良盆地の東に連なる小高い山やまの裾にそって南下し三輪山の麓まで続く大和の古代道路のひとつ。 全長35キロメートルの道の周囲には古寺社や古墳など、名所・名跡が点在し、四季折々の趣があって美しく、「美しい日本の歩…

「頭塔」が私たちに語りかけるもの

それは、民家のすき間から姿を見せた 春日山原始林を取材した帰り道、高畑界隈にさしかかった民家の家々の隙間から不自然な瓦が視界に飛び込んだ。あれはなんだろう?と訝しみながら近付くと、それは不可解な建物だった。ピラミッドのような四角錐、 5段ほど…

平城宮跡のなかを電車が走る理由

奈良体験、最初のクライマックスなのだが。 大阪、難波駅から奈良に向かう近鉄奈良線の電車が大和西大寺駅を出てしばらくすると、車窓に壮大な歴史パノラマが広がる。 まず、右手に艶やかな朱塗りの朱雀門、そして左手には近年整備された平城宮跡と荘厳な大…

天平時代へのタイムマシン、『正倉院展』 この秋も開催

2018年度70回目となる『正倉院展』。10月27日から。 奈良の秋の風物詩というべき『正倉院展』が10月27日から17日間にわたって行われる。この季節になると、私も正倉院展モードにスイッチがはいり、皮膚が泡立つ感覚を覚えはじめる。私の審美眼など、たいした…

奈良のお土産、[柿の葉寿司]。材料の鯖はどうやって仕入れた?

柿の葉寿司といえば、近鉄沿線のコンビニ、あるいは奈良県内を車で走ると売られているのが目にとまる、奈良の風土料理だ。観光客にとってのお土産ものであり、同時に、奈良の人たちの生活に密着した日常食でもある。 そもそも、柿の葉寿司は奈良県吉野郡、そ…

パワースポットとして知られる天川村で「能」が栄えた理由

芸能の神様として多くの芸術家やタレントの崇敬を得、1989年に社殿の建て替えの際に行われた神事、正遷宮大祭には長渕剛やYMOの細野晴臣、環境音楽の大家 ブライアン・イーノを召喚しての奉納を執り行った天河大弁辨天社。 当時は、アーティストやニューエイ…

春日大社の御本殿の段差が整備できない理由

今年、2018年には創建1250年を迎える春日大社。東大寺と並んで奈良の観光地として最も多くの人たちが訪れるが、その魅力の一つが境内が原生林に隣接しているということだ。たしか、養老孟司ものたまっていたが、孤島や山間の奥深くでならいざしも、…

3月14日、東大寺二月堂のお水取り 「十一面悔過(じゅういちめんけか)」

奈良の近くに生まれ住み、何度も奈良は訪れていたものの、お水取りを見に行ったのは初めてだった。白洲正子の「十一面観音巡礼」のなかで二月堂付近のトピックスに触れ、お水取りを始めた実忠という僧に興味を持ったことをきっかけに、ようやく足を運んだ。 …